クラシックなワードローブを築き上げ、すべてのアイテムがクラフトと美の投資であり、あらゆるフォーマルな場面をカバーできる。ネイビーフランネル、グレーのシャークスキン。温帯の夏にはソラーロスーツ、熱帯にはダヴグレーのフレスコ。フレデリック・ショルテのゆるやかな仕立てを思わせるダブルブレストのグレーフランネル、そしてレンタルタキシードを凌駕するほど鋭いイブニングスーツ。
シャツはパステルカラーが揃いすぎて、パートナーからは「ジェイ・ギャツビー」と呼ばれ、ネクタイはどのスーツにも3通りは合わせられるほど。靴はビスポークで美しく磨かれ、つま先にはスチール、そしてセクシーすぎるベベルドウエスト――年齢確認が必要なほどに。
―では次は何を?
この描写は極端に聞こえるかもしれませんが、多くの人が少なからず共感できるでしょう。そして一つひとつのアイテムが職人の手によるもので、地域の伝統を守り、小さな家族経営の工房を支える投資であれば、大企業の大量消費よりはずっと良心的に思える。
それでも問いは残ります――「次は何を?」
装いとは「時・場所・場面(T.P.O.)」に応じること。しかし、時代が変わればT.P.O.も変わり、クラシックなテーラードワードローブでは対応しきれない場面が増えています。
ブライスランズを立ち上げたとき、最初に用意した既製服は5ポケットジーンズとスナップフロントのデニムウエスタンシャツでした。すでにクラシックなワードローブを持つお客様に「補完するピース」を提案するためです。あれから6年、文化的な変化を経て私たちが必要とするものは広がりました。ラインナップに新しく加えるアイテムは少数精鋭。ガーデンパーティーのスラックスを週末のバーベキューに、ボードルームのフレスコスーツをバー巡りへ――そんな橋渡しを意識しています。
既存のワードローブに「実用性を加える」ことこそが、私たちの考える良心的な消費。車輪を再発明するのではなく、もっと滑らかに、もっと多様な地形を走れるように。
私がクラシックなワードローブで欠けていると思ったのは「タイを前提としないシャツ」でした。ノータイで着られるようデザインされたシャツがほとんどなく、ポプリンのスターチドスプレッドカラーをノータイで着るほど不格好なことはありません。まるで平日のためだけに存在し、週末は未知の領域に放り出されたような不安を覚える。
そこで私たちは、ネクタイを完全に拒絶するシャツや、タックインさえ必要としないアイテムを作り始めました。レーヨンの開襟シャツ、ポケット付きのシャツジャケット=カバナなど。これによりアジアの蒸し暑い気候でも快適に、そして午後5時以降に「企業弁護士」のように見えずに済むのです。
とはいえ、そこで止まるわけにはいきません。週末に芝生でピクニックをしたり、子どもとボールを蹴る場面でプリーツ入りのウールスラックスは相応しくない。とはいえ、ビスポークのブレザーやベンチメイドの靴に釣り合う重厚感も必要です。
高いウエスト、ゆとりのある腰回り、穏やかなテーパード――長年愛用でき、ビスポーク同様の満足を与えてくれるもの。私たちはその答えを、1945年のクラシックな米陸軍チノや、よりリラックスした再解釈版=USMCカーゴ「P13」に見出しました。
私たちやお客様の暮らしは、気候もライフスタイルも幅広く、それに応える視点を持つことも重要です。1950年代のリゾートウェアをモデルにしたタオルシャツや、第二次大戦時代のスモックを再構築したレインジャケット。熱帯の夏も、日本の梅雨も、スタイルを失わずに過ごせるように。これらはクラシックを置き換えるものではなく、新しい着こなしの可能性と「装う喜び」を広げるものです。
人生のあらゆる場面で、意味のある、美しい、そして一生ものの服を着たい。それが叶えば「無自覚な消費」の必要はなくなるはずです。完璧に仕立てられたスーツに匹敵するほど優美なパジャマ。日曜の午後、バイクに跨るためのヘヴィシャンブレーのつなぎ。
――どんな場面でもワードローブが喜びをもたらし、すべての購入が「一生を共にする」視点で選ばれますように。より良い消費を、より良心的な消費を。