私たちのニッター、カサンドラ・ハラダが、家族の農場(イリノイ州ワルシャワ)で迎える、羊農家にとって一年で最も大切な日――毛刈りの日の体験を語ります。

毛刈りの日の夜明け。納屋の中はすでに活気であふれています。イリノイの2月中旬はまだとても寒く、羊たちの毛を剃るのは不自然に思える瞬間ですが、シェアラー(毛刈り職人)の判断に従うのが一番。父は、羊たちの腹をいっぱいにして、到着を待ちます。

 

 

私たちはこの小さな農場でコルモ種を育てて約5年。1960年代にタスマニアでサクソニー・スーパー・ファイン・メリノとコリデールを掛け合わせて生まれた品種です。耳が垂れて丸々とした姿は、まるでテディベアのよう。最初は4頭の雌羊から始め、少しずつ頭数を増やしてきました。なかでも「ショーン」という雄羊は特別な存在。

人の前では甘えても、背を向けると頭突きを仕掛けてくる厄介者です。とはいえ、大半の雌羊はおとなしく、撫でられたりクッキーをもらうのが大好きです。

コルモは他の羊より40%ほど多くラノリン(羊脂)を含んでおり、毛が脂で覆われているため毛刈りの始めどころが分かりにくいほどです。母は納屋の隅で手を握りしめながら見守り、シェアラーは広い一刈りごとに羊型の毛布のようなフリースをつくり、巻き上げて重さを量ります。

 

羊から羊へと、次々に刈り進める職人。切り傷ひとつなく、指先も無事。嫌がって蹴ったり鳴いたりする羊を相手に、冷静に皮膚を操りながらきれいに刈り上げる技は本当に見事です。

今年のフリースは格別でした。病気も寄生虫もなく、細く柔らかく、傷みや切れ目のない美しい毛。コルモのウールはおよそ19ミクロンで、カシミアと同等の細さを誇ります。だからこそ驚くほど暖かく、素肌に着るのが最高なのです。これでセーターを編める日が待ちきれません。

36頭すべてが数時間で刈り終わり、雌羊たちは新しい毛並みで牧草地を跳ね回ります。雄羊たちは少しすねていますが、それもすぐに収まるでしょう。こうして新しい一年が始まります。雨を避けて寄生虫を防げること、牧草が早く育つこと、そして無事な出産シーズンを祈りながら。なにより、また来年も良いウールが得られることを願って。

Photo credits: @canyonmccartyphotography

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